毎晩呑んだ暮れ、記憶にはあるけれど、
忘れたいのみの席ばかり。
睡眠不足も20日をすぎると、ソレガフツーで、
太陽はまぶしすぎるので、夕方から外へでる。
寝ていない時は、判断能力が鈍っていると
相場が決まっているのですが、
その日は、そうでもなくて、むしろさえていた。
「最後にでるアルトサックスがいいから。」
と、オールのイべを組んだMからメール。
アマレットをロックで一杯ひっかけて、
胸やけしそうになりながらタクシーを拾う。
「野外イベをやりたいんだよねー。」
うかつにそういったらやろうやろうってことになって、
正直、誰かにふりたいんだけれど。
やりたいといった手前、やるしかなくて。
北千住の朝4時から5時ぐらいに、アルグリーンが
流れるともってかれそうになるけれど、赤坂ではそれがない。
朝、四時にM登場。例の会場へ。
ショーケースだというから、いってみれば、某レコード会社の
Yもいた。
ヤバいなー。どう考えても素人の酔っぱらい女がくるところではない。
ドアはあけた瞬間に、どーでもいいバンドが悦に入って演奏中。
この時を忘れさせてくれるラストであってほしいと聴き流す。
しかし、きこえてくる。
(ブタ野郎早くおわれ)とはいわないけれど、コロナをがぶのみ。
機嫌の悪さは最高潮。すこぶる悪態つきたいところへ、目の前を
うろうろうろうろする奴がでてきた。
目の前をうろうろうろうろ。
もて勘違いはさけたいものだから、フツーに無視。
4〜5回うろうろ目の前をいったりきたり。6回目ぐらいに、
一杯の酒をもって隣の席へ座ってこういった。
「結婚してください!」
バカすぎておもわず、大笑い。
ブタ野郎の演奏は、きこえなくなった。
聞けば、これからライヴだという。
首からぶら下げているものは、サックスをつなぐもの。
どうやら、こいつがMがいっていた
酔いどれサックスらしい。
「パートはなんですか?」
一応、聞いてみる。
「サックス。」
「テナー?」
「いや、アルト」
もう、始終、目が潤みっぱなしで、これ以上呑めないだろうって
いうぐらいに酒入ってて、とりあえず、演奏できんのか?こいつ。
一応、私もプレイヤーのはしくれ、
酒をのんで歌えなかったことは多々ある。
(こいつ、大事な仕事、すっぽかすな。)
このままキレて帰って、手がつけられないにおいがして、
その怖さはどうしようもないロクデナシに違いない。
けれど、そのロクデナシがサイコーになるときがある。
ライヴはよかった。
Mが隣で、
「ね、いいでしょ。」
という。
演奏前に、あったことは、社交辞令と忘れていた。
「ねえ、終わったあとにホテルいこうよ。」
でた!ミュージシャンのライヴのあとの
あがりっ放しのクールダウンのための
セックスにはつきあわない。
とりあえず、
「なんですか、それ?」
と、にらみかえす。
その後、
「そうだよねー。」
と、ひいた後の目がよくて、
電話番号を交換。
でも、私からは連絡はしないと決めていた。
交換は、仕事のため。そう、思っていた。